UK 60年代の雑誌 [4]:その雑誌にバカラックは曲を贈った〜London Life

前回の続き。

London Life誌のマネージメントはThe Lord Puttnam/デヴィッド・パットナム氏の担当でした。(氏は後に「小さな恋のメロディ」や「ダウンタウン物語」「炎のランナー」などの映画プロデューサーとして活躍します。あのロジャー・ダルトリーの迷作「リストマニア』も!)

創刊時、パットナム弱冠24歳。血気盛んなロンドンっ子はどうしたら新雑誌を宣伝できるか考えたあげく、なんと、バート・バカラックに曲を作ってくれないかと話を持ちかけたのでした。若さってすごい。それがこれ「London Life 」。

Anita Harris – London Life

この時の面白いエピソードがCreative Reviewに載っていました。
パットナムはバカラックを訪ねる際、お供としてジーン・シュリンプトンを連れて行ったそうです。パットナム曰く、バート・バカラックは僕に会うより彼女に会う方に興味津々だったよとの事。そりゃあそうだろう!元々モデルとして大人気大活躍中であったし、65年、巷は公の場にナマ足ミニスカートなんて格好で登場した彼女の噂で持ち切りだったのだから。

2015-0913-jean-shrimpton1965

65年のジーン・シュリンプトン嬢。見よこの美貌!この美しいおみ足!

それが功を奏したのか、バカラックは若者の提案に同意。曲はラジオで宣伝を流し続けますが、広告費はゼロです。作戦は大成功を納めたのでした。

バカラックのディスコグラフィーを見てみると、この65年から英国シンガーへの曲提供が急増したようですね。トム・ジョーンズ、マンフレッドマン、クリフ・リチャード。翌年シラ・ブラックやダスティら英国が誇る歌姫たち。

だからバカラックもこれからのロンドンライフに浮かれて、このオファーを軽いノリで受けたのかもしれませんが、まあそれにしても、バカラック御大(当時37歳)も鼻の下伸ばす事があるのかと思うと楽しいですな!

それに、これからジーン・シュリンプトンを「一番最初にミニスカートを着用した」「60s UKを代表するモデル」で「デヴィッド・ベイリー、テレンス・スタンプの恋人だった」に「バカラックをワクワクさせた」を追加しようと思います。

My Little Red Book – Manfred Mann (Film Version) – 1965
(マンフレッドマン最高!!)

UK 60年代の雑誌 [3]:最高にスウィンギンでヒップな雑誌〜London Life

一昨年、何がきっかけだったか忘れたけれど、ものすごくクールなイラストを見つけて(クールなんて普段使わない単語だけど、これはそうとしか言いようが無いと思った)、それはイアン・デューリーが描いたものだと知ってかなり興奮して調べまくった時期がありました。

そのイアン・デューリーのイラストを表紙に起用してたのが「London Life」という65年創刊の雑誌。

London Life 1965

London Life誌1965年11月号。イアン・デューリーが描いたトニー・ベネット。via Creative Review

ヴィダル・サスーンやファッションデザイナーのエマニュエル・ウンガロが表紙を飾り、ピーター・ブレイクの特集が組まれ、アラン・オルドリッジがデザインを行い、ミニスカートを最初に着こなしたモデル、ジーン・シュリンプトンがファッションエッセイを担当…といったハイセンスお洒落っぷりだったらしいのです。

London Life

写真左、色黒でいたずらな小僧みたいな顔してるのがヴィダル・サスーン、中央のモデルの手を握っている紳士はエマニュエル・ウンガロ。 via Creative Review

それもそのはず、調べてみたら、創刊者はサンデータイムスの元敏腕編集者。スタッフは、後にいろいろな雑誌やアート本で名前を見かける名物アートディレクターを始め、デザイナー、モデル、写真家、マネージャーと、ロンドンの若い才能が集まったドリームチームだったのでした。

そのためもあって、入手はおろか存在すらが都市伝説なんじゃと思えるほどのレアっぷりです。でもラッキーな事にCreative Reviewというデザイン誌で特集を組んでいたので取り寄せてみました。(しかし眠い。明日に続く)

UK 60年代の雑誌 [2]:Town Magazine「国際諜報局」特集

Town Magazine - April,1965

昨日に引き続きTown Magazine。これは落札しそこねたやつ…

65年4月号はマイケル・ケインの映画「国際諜報局」の特集で表紙はM36を握る女。
レザーのガーターリングをメリケンサック、銃弾、眠らせる楽入り注射器など物騒なアイテムで飾った彼女は二重スパイか手練の殺し屋で、色仕掛けで進めていったミッションも完了まであと一息… みたいな感じですかね。そこに著者レン・デイトンのとぼけ顔の写真を挟んでるところ、抜けが利いてて最高。デザインも素晴らしい!

(一番端のカメラ?起爆装置?みたいな機械、コレもまたそそります!初期007の何が面白かったかって、Qが作るスパイグッズあれこれとか、扉に髪の毛貼付けて侵入者チェックしたりするスパイ工作ですから!クレイグボンドさん&ベンQは十分素敵だし面白いけど、もう少しワクワクするようなスパイツールが登場してくれると良いんだけどな。12月楽しみ。)

UK 60年代の雑誌:Town MagazineとTom Wolsey

eBayに「TOWN」誌の1963年5月号が出品されてた!ずっと探してたやつ。
カバーアートワークはUKポップアートの第一人者、ピーター・ブレイク卿。アートディレクションはTom Wolsey。シビれるね、このカッコいい表紙!

Town magazine May 1963

コンディションはExcellentだけど、送料入れたら140ポンド、25000円くらい? オファーかけても送料タダがいいとこだろうし、もとよりこのお値段じゃ手も足も出ない。なのに何度も眺めてるうちに、表紙だって額に入れれば立派に楽しめるんじゃ?小さな作品買うつもりでどうよ?!って自分に説得かかってた。危ない危ない。
http://www.ebay.com/itm/-/380992109437?roken=cUgayN&soutkn=HCHIht
 


 
TOWN Magazineは50年代からある男性カルチャー誌で、60年中頃〜70年代始め頃の無駄を削いだデザインが特にカッコいい。そのアートディレクターがTom Wolsey。

下は1964年1月号のクリスマス特集。パティ・ボイドのお相手は「イプクレス・ファイル」等スパイ小説の作家レン・デイトン。覗き穴のような円の中のパティちゃんはこっそりウインクしていて何かを企んでるようにも見える。ロマンチックなミステリー小説の1シーンみたいないい表紙。

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Tom Wolseyは60年代に大活躍したアート&エディトリアルのディレクター。コントラストが強い大胆なデザインやタイポグラフィーがとても好み。このセンシュアルなマリー・クワントの広告もウルジー。60sUKの雑誌を見ていてカッコいいデザインだなと思うとトム・ウルジーだったりする。もしデザイン集などお見かけしたらご一報くださると嬉しいです。

Tom Wolsey

Mary Quant - Tom Wolsey